なぜ、規模が大きい動物病院を引き継ごうと思えたのか? 池原動物病院
池原動物病院 古藤寛規院長(富山県富山市)
開業後4か月
獣医師2人、看護師4人
Q:古藤先生は、この承継病院を選択する時に、何を条件として考えられたのでしょうか。
古藤院長:この承継開業では場所は選べないことを知っていましたので、開業場所については特にこだわりはありませんでした。場所よりも私が重視したのは、その動物病院の売上です。開業する以上、絶対に成功させるとの思いが強かったので、売上のいい動物病院に絞り込みました。
Q:億超え病院を紹介された時はどのように感じられたでしょうか。億超え病院と言うと、大半の勤務医が「怖い」「無理だ」と反応しますので。
古藤院長:この承継開業システムから考えて、「借入額も大きいが、その分、売上が高いので、返済に充てられる金額も大きくなる」と考えました。
借金の額が小さい承継病院はリスクが低いのかと言うと、売上も低いのでそうとは言えません。また、その動物病院の伸びしろもないかもしれないと考えると、むしろ、売上が低い病院の承継の方が怖いと思いました。
Q:多くの勤務医がこのポイントを「借金の多さ=リスク大」と真逆に捉えておられます。その借金の額に対して売上がどれくらいあるのかを見ないで、その借金の額だけで承継できるかどうかを考えてしまいます。
古藤院長:私も、自分が引き継いだ後に、池原前院長の売上が維持できるのだろうかといった心配はありました。だから、最初に病院見学に来た時に、自分が経営者になった時に売上が伸ばせる「伸びしろ」があるか否かを考えました。そして、自分なりの改善点が見つかったので、承継を決断しました。
Q:「売上があれば、借金額が大きくてもリスクは低くなる」のは、経営では健全な考え方なのですが、古藤先生はどのようにしてこのような考え方ができるようになったのでしょうか。
古藤院長:売上が2000~3000万円の動物病院を承継するならば、新規スタートする方がいいと考える人が多いのではないでしょうか。億超え病院の選択肢がなければ、私は新規開業を選択していました。
Q:例えば、6000~7000万円が上限と考えている勤務医が圧倒的に多い。この額を越えると「怖い」と考えるのはなぜかということです。
古藤院長:恐らくは、その人の性格なのかもしれません。
私はどちらかというと「思い切るタイプ」なので、億超え病院を承継して億超えの借金を抱えることに抵抗はありませんでしたが、この話を父親にした時、父はサラリーマンなので、億超えの借金など考えられないという答えでした。「開業するならば数千万の借金で小さなテナントから始めたら」と言うので、私の考え方とはまるで違っていました。
特に規模が大きな病院承継の場合、億単位での譲渡金額ですから、迷ったりするとそこで決断できなくなります。慎重な性格の人にはなかなか思い切れないのではないでしょうか。
Q:古藤先生は開業場所にはこだわらなかったとの話でしたが、その中で、この富山市を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
古藤院長:私は開業というゴールに向けて、外科が好きだったこともあり、勤務医を続けながら、休日に大学病院に行って外科の勉強をしていました。大学病院で学んだことを自分の勤務医病院で実践することで経験を積んできました。そして外科の自信ができたので、開業へと踏み切りました。
そこで開業地の選択では、「自分の得意とする医療技術が発揮できる場」として調べて、承継候補病院のリストにあった富山市の病院を選びました。
Q:これまでの勤務医時代に経験してきたことが活かせるからこそ、地方都市の富山市での開業を選択されたわけですね。
この富山市の規模が大きな病院を引き継ぐに当たって、古藤先生は横浜の規模が大きな病院で勤務されていましたが、規模が大きな病院を継ぐには規模が大きな病院に勤務していた経験が活かされていると言えるのでしょうか。
古藤院長:規模が大きな病院を承継するに当たって、横浜の規模が大きな病院に勤務して、いろんな先生方と仕事ができていたという経験は大きいと思います。
それぞれの先生の診療スタイルをみて、真似て、自分の診療スタイルを作っていくのですが、大勢居るので、いろんなスタイルがみれたことは有り難かったです。院長1人の動物病院では院長の診療スタイルしかみれませんので。
また、規模が大きな病院は人間関係が大事な世界なので、うまく仕事を進めるために他者との接し方などについて学べて身に付けられた点も大きいです。
Q:規模が大きな病院に勤務されていたことで、規模が大きな病院で大事になってくる問題は人間関係だとわかっていたのも、規模が大きな病院を引き継ぐ際には大事なポイントになったのではないでしょうか。
古藤院長:確かにそうです。院長のみの病院に勤めている経験では、自分が引き継いだ後に規模が大きな病院でどんな問題が起きるかが予想できません。だから、借金の額も含めて「怖い」と思ってしまうのではないでしょうか。
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