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- 06/19/2009: 獣医師と医師の引退年齢
- 06/15/2009: 獣医師専門求人誌「キャリアV」の出版
- 05/31/2009: 動物病院の第三者事業継承
- 05/16/2009: 開業方針で親の意見に従うかどうか
一昨日の土曜日に北里大学で動物病院セミナーを行い、高学年約30名の学生さんに参加していただきました。このセミナーは2年前に、ある学生さんから大学で教えてくれない動物病院の
経営について学びたいので、学内でセミナーをしてもらえないかとの要請があり、その熱意に
促されて始めたのがきっかけで、今回は3回目になります。
最初にひとりずつから、就職先の動物病院選定の具体的基準についてお聞きする時間をとりましたが、次のような答えが返ってきました。
・症例数、手術数が多いこと
・早く診察、手術をさせてくれるところ
・獣医師数3人から5人の中規模の病院
・専門的な強みを持っている病院
・雰囲気、人間関係が良い病院
・院長の人柄が自分と合う病院
・教育体制が整っている病院
大学では年間200万円前後のお金を払って学ぶが、動物病院では最低でも年間200万円以上のお金をもらって知識、技術を身につけるだけではなく現実にお金がもらえるだけの実力をつける(貢献する)ことが大切なので、発想を変えなければならないことを伝えると、皆さんショックを受けたようでした。
さらに、卓越した臨床家になるためには、大学卒業後の病院選択が、一般の企業への就職以上に人生を左右することを伝えると、多くの学生さんは思いを新たにしたようでした。
学生時代から業界の情報、病院選択の方法、臨床家としての心構え、開業への手順とノウハウ
をお伝えすることで、少しでも多くの学生さんから将来のすばらしい臨床家が育つように今後も
努力したいと考えています。
セミナーの中で、臨床家に向いている人間性として次の六つを挙げさせていただきました。
1 伴侶動物臨床の仕事が大好きなこと
2 人と話をするのが大好きなこと
3 人との出会いが大好きなこと
4 感謝する心を持ち謙虚であること
5 体力には自信があること
6 忍耐力には自信があること
また、将来ビジョンを待ち目標をもつことにより、毎日の時間の質が変わることをお伝えしました。伴侶動物の臨床家として夢を実現できる可能性は大きいと思います。
本日、ある医薬品会社の方と話していましたら、最近、獣医師で臨床を引退する60代の先生が
多いのに反して、人間のクリニックの先生は70代でも現役の先生が非常に多いという話がありました。
実際に、動物病院の開業院長の平均年齢が50歳未満であるのに対して、人間のクリニックの
開業院長の平均年齢は60代後半であるといわれています。
また、動物病院で倒産による廃業が非常に少ないのに対して、60代院長の引退廃業や健康上の理由による動物病院の廃業が増えているそうです。
考えて見ますと、動物病院は良い悪いは別にして、総合科目を診療しなければなりませんので
クリニックといえども、重症症例や緊急症例もあり、また、精神的に難しい飼い主さんも増えています。この動物病院院長に対する精神的・肉体的負担がかなり大きいことが、人間のクリニックの院長よりも動物病院の院長の引退年齢が早いことの理由になっていると思います。
私が、米国の動物病院を訪問したときに、開業院長のハッピーリタイアが一般的であることを
聞かされました。ハッピーリタイアとは、院長が自主的に早期引退して、時間的な余裕のある
ライフスタイルで生活することです。経済的にも余裕のある生活をするためには、資金をためること、病院を売却してまとまった資金を得ること、院長辞任後に顧問医として収入を得ることなど
さまざまな方法があります。
大きな病院では、勤務医に任せて休むことも可能ですが、病院の9割が獣医師2名以下の
病院であることから、大多数の院長は休むことに制約が大きいのが現実です。
健康上の理由で退職される動物病院院長の事例を少なくするためにも、ハッピーリタイアの
ライフスタイルを日本に根付かせることはぜひとも必要ではないかと思っています。
今、来月に出版予定の獣医師専門求人雑誌「キャリアV」の出版準備をしております。
この雑誌の目的は、直接的には動物病院、公務員、企業その他に就職希望の獣医科大学生と
獣医師に就職に役に立つ情報を提供し、また、動物病院院長と学生、獣医師との価値ある出会いを実現することを目的とし、間接的には、獣医師の待遇改善や女性が長く臨床を続けられる
環境の整備に貢献することです。
獣医科大学卒業後の就職先の決定は一生にかかわることは、一般大学生の就職先決定よりも
はるかにその後のインパクトが大きいと思います。
卒業時の年齢が一般大学よりも2年も遅れることに加え、多くの獣医科大学生は一般社会と接触する機会が少ない上、獣医師という仕事が多忙なため、特に臨床現場では院長はじめ就職先の
先輩から多大な影響を受けます。
獣医師として成功するためには、その人の人間的素質(人間性とやる気)が最も重要だと思いますが、その次に大事なのは、大学卒業後にどのような職場でキャリアを身につけるかということです。
有名な病院、先輩のいる病院、ホームページで知った病院その他非常に限られた情報で就職先を決定したために就職後のキャリア形成がうまくいかなかったとの事例は非常に多いです。
特に、日本の伴侶動物臨床にはいわゆるコモンプラクティスと呼ばれる医療標準がないために
動物病院の医療格差、サービス格差、マネジメント格差は開く一方です。
尚、この雑誌は多くの動物病院の求人広告収入をベースとして発行するフリーペーパー(送料も無料)ですので、できるだけ多くの学生さんと若い獣医師に呼んでいただけるように誌面の内容充実に努力していきますのでよろしくお願いします。
先日もある院長から動物病院の後継ぎがいないので病院を引き継いでくれるような開業希望の
獣医師を紹介してほしいとの依頼を受けました。
今後、このような、いわゆる、動物病院の第三者事業継承のニーズが高くなることは間違いないと思います。
第三者への動物病院の事業継承が増える時代背景としては次のようなことがあります。
①第三者が譲り受けてメリットのある病院規模として、売上高5千万円が一つの目安になりますが、この規模の動物病院が絶対数として多くなってきたこと。
②以前のように新規開業のリスクが少ない時とは違い、今後の病院過密の時代においては、
新規開業者にとって、第三者事業承継による開業はメリットが大きくなってきたこと。
③早期事業承継(早ければ50代前半から)、ハッピーリタイアをして、人生の晩年を時間的
精神的に余裕のある人生を送りたいとの考えを持つ院長が増えてきたこと。
④地域有数の動物病院が後継者がいないばかりに病院が閉院に追い込まれる事例が目に付くようになり、むしろ良い動物病院を存続してほしいとの社会的ニーズが高まっていること。
⑤獣医科大学の入試の難易度、獣医師国家試験の難易度が上がったことにより、院長の
2代目の事業承継が難しくなっていること。
第三者への動物病院の事業承継を成功させるためには、病院を譲る院長と病院を譲り受ける
新規開業希望者とを結びつけるアドバイザーが必要で、できれば、早い段階から準備をする
必要があります。
私も、いくつかの第三者事業承継を成功させた経験がありますので、その経験にさまざまな
ノウハウを積み重ねて社会的要請に応えていきたいと思います。
開業する場合はよほどの例外を除いて、親族から何らかの資金支援をもらう場合が多いのですが、開業方針についても親が意見をさしはさんでくる場合かあります。
先日お会いした開業予定の獣医師の方が、当初は親から開業資金の支援を予定していたのに、
その支援なしで、金融機関からの融資で資金調達したいとの方針変更があったとのお話がありました。
事情をお伺いすると、開業場所を決定する直前になって、親がその場所に反対して、実家の
場所で開業するように方針の変更を迫ってきたとのことです。
私も、多くの開業支援をさせていただく中で、このように開業場所を決定する直前になって、
親や配偶者が反対するということをたびたび経験してきました。
今回の先生は、自分の意見をしっかり持っておられたので、親の意見に同調せずに、親の資金を
あてにしない方針に切り替えてでも自分の方針を貫く姿勢をとられました。このような姿勢は非常に大切だと思います。
自分のしっかりした意見を持ちながら、親の意見もじっくり聞いて、忍耐強く親を説得していくという
態度は、開業後に勤務獣医師やスタッフをまとめていくためにも共通するものがあると思います。
重要な決断は妥協せずにとことん自分の意見を貫いていく、ただし人の意見も真剣に聞くという
姿勢は必ず最善の道が開かれていくことにつながると思います。
現在、歯科医院、動物病院ともに既存ショッピングセンターのテナント物件の開業に大きなチャンスがあります。
最近の不況で物販の業績低迷が顕著な中にあって、医療分野の需要は底堅いです。
さらに、郊外型ショッピングセンターでは土日型の店が多いので、平日の来店者が減少
する中にあって、医療には初診が土日が多くても再診を平日にできるということがあります
ので、物販に比べて来店者の平準化が計れます。
先日は、ある院長が、ショッピングセンターの入り口隣の物件を選ぶ場合は年中無休、
そうでない場合は、入り口から離れた区画にしてほしいとのディベロッパーの要請に対して
年中無休でやるので、入り口隣の区画でやる、と決定されました。
開業当初の、やる気、は個人差が大きいですが、こうした、ここ一番のときの気迫は
開業後の成果を大きく変えると思います。
顧客満足の時代から顧客感動の時代へ、という言葉をよく耳にしますが、
他人と違った努力をしようとしている人には本当に人を感動させるものがあります。
開業者に気迫がある限り、まだまだ、開業の成功の可能性は非常に大きいと思います。
最近お会いしたある獣医学科の6年生の学生さんが、病院によって新卒1年目に手術をさせてくれる病院とさせてくれない病院があるが、1年目に手術をさせてくれない病院への就職は考えないと言っていました。
今後、病院の過密化と飼い主さんの病院に対する見る目が厳しくなると、病院格差は人材格差
となる傾向が強いので、病院は飼い主さんに対して魅力があるばかりではなく、獣医師に対してまた、看護師に対しても魅力がなければなりません。
特に、開業志向の獣医師にとって、研修医時代にどれだけの手術件数を経験できるかは非常に重要なポイントの一つですので、新卒獣医師の1年目に手術をさせない方針を持っているということは、向上心の高い獣医師にかなりのマイナスイメージを与えていると思います。
もちろん、手術だけでなく診療行為にはリスクがつきものですので、手順をつくした獣医師の
育成計画をもたずに、新卒獣医師を診療現場に出すことを避けなければならないことはいうまでもありません。
学生さんが病院見学に行った時にどのような点をみているか聞いてみると、
●院長の考え方
●新卒1年目に手術をやらせる方針か、やらせない方針か
●病院の診療件数、手術件数
●手術前後の手順と手術の内容
●勤務している獣医師の質
●給与(実質的な年収)
●休日(勤務医志向と開業医志向でニーズは異なる)
など、非常にシビアに見ていました。
今後の動物病院は飼い主さんの目と就職目的で見学する獣医師、学生の目で厳しく選別される
時代になっていると言えます。
1990年代から2000年代への動物病院の業界成長率を分析した場合に、業界は間違いなく
急成長期から低成長期に移行しています。
それに反して、2000年代以降、30代の院長の動物病院の急成長の事例が非常に多いと思います。
私が、直接お会いした30代の院長だけでも、少なくとも10人以上は県下トップレベルの
売上規模(獣医師数規模)になっておられます。これだけ多くの30代の院長が急成長されている
背景は何でしょうか。
先日、やはり、急成長されている院長とお会いしてお話ししながら感じたことは、業界の
世代交代が進んでいること。また、以前は外科が花形で内科は裏方みたいなところが
ありましたが、最近は、飼い主さんから内科の結果が病院選択の大きな要因になっているとの
情報を得ることが多くなりました。
以前は、近い病院に行くということが病院選択要因として非常に大きかったのですが、
最近は、評判を聞いて、遠いところの病院に変えたという飼い主さんが増えています。
さらに、年配の大先生は怖くて近寄りがたいので、若くて、親しみやすい先生の病院に
変えたという飼い主さんも増えているとの話を、ある県下トップクラスの30代院長から
お伺いしました。
30代院長の急成長事例が増えているということは、今後開業を考えられている多くの
獣医師には希望を与えることになり、素晴らしいことだと思いました。
本日、ある獣医科大学で今月あった獣医師国家試験に合格しして卒業したお二人にお会いしました。お二人の意見では、最近は、できるだけ早く開業したいという学生が減って、勤務医として
臨床が続けられる時代がくるのを待っている人が増えているとのことでした。
そこで、開業するリスクと開業しないで勤務医として臨床を一生続けるリスクとどちらがリスクが
高いかという話になりました。
家族を持って、一家の経済的責任を果たすということから考えると、開業して経済的に息詰まる
リスクよりも勤務医を続けて40代以降にリストラされるリスクのほうが圧倒的に高いというのが
実情だと思いました。
また、卒業後の動物病院でしっかり週休2日制をとって夜勤も全くない病院と、実質的には
週休1日程度で夜勤もときどきある病院でどちらが臨床家としてリスクが高いかという話も
しました。
大学卒業後の動物病院の勤務で快適な環境で臨床を続けることが一見良さそうですが、
伴侶動物の臨床は楽をして一人前になれるほど゛甘い業界ではないということも真実です。
目先の利益に甘んじるために長期的な利益を損なうことはよくあることですので、大学卒業後に
臨床に進む場合は就職先の選定と開業するかどうかの意思決定を大学時代からよくよく考えて決定する必要があると思います。
こんなことも踏まえて、今年も獣医科大学でのセミナーを行いたいと思います。
本日、二つの商業集積のディベロッパーの担当者にお会いしました。
この10年間に非常に多くの新しい商業集積(ショッピングセンター)が国内にできましたが、
生活に必要不可欠な医療機関、動物病院の商業集積内の出店が非常に少ないことを
痛感しました。
以前、私が子供だった時代(40年前は)は、商店街が地域の商業集積の中心で、買い物と言えば商店街に行っていたのを思い出します。
商店街が地域の人々のニーズに対応できなくなった理由には次のようなことが大きいと思います。
①車社会への移行の流れに対して、駐車場の対応ができなかったこと。
②それぞれの個店が魅力を維持する仕組みがなく、自助努力を促す仕組みもなく
多くの店が衰退の一途をたどったこと。
③個店の新陳代謝を促すしくみがなかったこと。たとえば、ある店が衰退しても、それに代わる
新しい魅力ある店に移行するしくみがあればよかった。
④個人の力では限界があり、企業経営のしくみ(継続するしくみ)を取り入れることができなかった。
ショッピングセンターは上記の商店街の問題点をみごとに克服していると思います。
つまり、
①車社会に対応し、
②個店が魅力を維持できなければ、退店するしくみがあり、
③企業経営のしくみが取り入れられています。
医療の世界では、商業=悪 企業=悪 したがって、ショッピングセンター=悪
という思考パターンがあるように感じますが、
私の子供のころには当たり前のように商店街に歯科医院も内科医院も産婦人科医院もありましたので、ショッピングセンターにも当たり前のように医療機関があるというのは自然な姿だと思います。